黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
第三章 おやすみ、僕の可愛い夏初
陽川さんと出会って三日目の土曜日は、一緒に買い物へ行った。

「おはようございます」

電話がかかってきて部屋を出たらマンションの入り口で、陽川さんが待っていた。
紺色のSUVの前で背筋を伸ばして立っているのはまるで、品のいい執事に見える。

「おはようございます」

私に気づいた彼が、眼鏡の向こうで目尻を下げて柔らかく笑う。
背後から日が差しているからか眩しくて、つい目を細めてしまった。

「今日はよろしくお願いします」

「いえいえ!
こちらこそよろしくお願いします」

頭を下げた私に彼が下げ返してきたのがおかしくて、ふたりで笑っていた。

「どうぞ」

「えっ、あっ……はい」

彼が助手席のドアを開けてくれるので、戸惑いながらもシートに腰を下ろす。
革張りのシートは柔らかく私の身体を包み込み、座り心地がいい。

私がシートベルトを締めているあいだに、陽川さんも運転席に回って車に乗った。

「忘れ物はないですか」

「はい、大丈夫です」

「じゃあ、出発しましょう」

彼がアクセルを踏み込み、車が滑らかに走り出す。
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