黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「ありがとうございます」

こんな遠方のアウトレットモールなんて滅多にどころか今回、初めて来たし、アウトレット価格ならいつもよりもいいものが買える。

ふたりで服を選びあったりして楽しく過ごす。

「これは。
私が自分で買うので」

気に入ったスカートを買おうとしたところで頭の上から出てきた手を押し止める。

「でも」

「陽川さんのお家で使うものは買ってもらいますが、これは私の通勤着です。
私個人のものは私が買います」

しばらく私と目をあわせじっと見つめたあと、彼は諦めたかのようにはぁっと小さくため息をついた。

「僕が好きになったのはそういう夏初さんなので、引っ込めます」

苦笑いをして彼が手を下ろし、わかってくれたのだと嬉しくなる。

「もう、そうやって僕を何度も惚れさせてどうするんですか」

「ぴぎゃっ!」

店員が準備してくれるのを待っているあいだに耳もとで囁かれ、奇声を発して飛び上がった。

「あそこのお店、寄ってもいいですか」

見上げた彼は厳しい眼差しで私ではなくどこか遠くを見ている。

「陽川さん?」

「ああ、すみません。
あそこのお店ですね?
そうだ、僕に選ばせてくれませんか。
プレゼントしますよ」

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