黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「ん、美味しいです!」
ひとくち食べたメロンパンはクッキー生地がさっくりで、口の中にメロンの香りが広がり最高だ。
「ほんとだ、美味しいですね」
さきほど心の中で文句を言っていたのなんて忘れて、ご機嫌で食べる。
うん、食べ物を無駄にするとかできないもんね。
……と、自分に言い訳した。
メロンパンを食べ終わり、買っておいてくれたコーヒーを飲む。
本当に至れり尽くせりだ。
車に戻るのかと思ったら、少し見て回らないかと誘われて同意した。
「甘いものを食べたあとって、しょっぱいものを食べたくなりませんか」
陽川さんの視線の先には珍しい、鯵の唐揚げ屋がある。
確かに気になるけれど、大丈夫だろうか。
ちらりと彼の顔をうかがうとどうかしたのかと不思議そうに首が傾いた。
「……いい、ですね」
たぶん彼なら大丈夫と自分に言い聞かせる。
それに正直に言えばこんなときでなければ鯵まるごとの唐揚げなんて食べる機会なんてないから、食べたいに決まっている。
「じゃあ」
店の前に立った陽川さんと並ぶ。
店頭にはいろいろな味の、鯵の唐揚げが並んでいた。