黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「僕は塩にしますけど、夏初さんはどうします?」

「あー、私はマヨネーズで」

「すみません。
塩とマヨネーズ、ひとつずつください」

支払うつもりで携帯を準備する。
けれど私が申し出る前に彼がさっと払ってしまった。

「私が払おうと思ったのに」

頬を膨らませ、鯵の唐揚げを渡してくれる陽川さんに抗議する。

「ですから、これくらい僕が……」

「私だって!
陽川さんと一緒で陽川さんになにかしたいんです!
だから次は私が払いますからね!」

「えっと……はい」

私に食ってかかられ、彼が降参だと両手を上げる。

「あー、もー、陽川さんがリアルスパダリすぎて困る……!」

苛立ち紛れに鯵の唐揚げに噛みつく。
揚げたてのようでパリッといい音がした。
けれど身はふわふわで、マヨネーズの味がよくあう。

「えっと……。
スパダリすぎると困るんですか」

私の隣で鯵の唐揚げを食べながら陽川さんが困惑気味に聞いてくる。

「はい、困ります。
だってなにからなにまでしてくれるから、私の出番がなくなっちゃいますもん」

出会ってからずっと彼からしてもらってばかりだが、私だって彼のためになにかしたい。
< 67 / 287 >

この作品をシェア

pagetop