黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
そのせいでつい、頷いていた。

再び歩き出した彼は迷いなく進み、インナーウェアの店に入った。

「えっと……」

こんな店に男性とふたりで入るのはなんか、気まずい。

「どうかしたんですか」

少し熱を持つ顔で私がもじもじしていて彼は怪訝そうだ。

「ああ。
ここはパジャマの取り扱いが豊富なんです」

陽川さんが私を案内したコーナーには、普通では見ないほどたくさんの種類のパジャマが並んでいた。

「ここのパジャマはとても上質で、僕も愛用しています」

「へー」

よく考えたらずっとパジャマはルームウェアと兼用だったので、寝る専用のパジャマを買うとかいつぶりかもわからない。
もしかしたら子供の頃以来かも。

「これは夏初さんの好みもあるので、よろしかったらですが」

物珍しそうに見ていたら話しかけられ、振り返った。

「……パジャマ、おそろいにしませんか」

鼻梁を撫でるようにして陽川さんが眼鏡のブリッジを押し上げる。
弦のかかる耳の先端は、ほのかに赤く染まっていた。

「あっ、えっと、そぅ、デスネ」

なんだか見てはいけないものを見てしまった気がして、視線を逸らす。
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