黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
いたずらっぽく彼が、眼鏡の向こうで片目をつぶってみせる。

「あ、いや、さすがに全部は……」

ごにょごにょと口の中で言いながら、そろりと大根の煮物をトレイの上にのせる。
さらに茶碗蒸しとわらび餅を追加した。

「それだけでいいんですか」

見上げて目のあった陽川さんが促すようににこっと笑う。

「じゃ、じゃあ、……これも」

誘惑には勝てず、私はさらにナスみそを追加した。

できあがったメインと、ご飯とお味噌汁を受け取り、会計をして取っていた席へと向かう。

「……ごはん代くらい払うって言ったのに」

ここならさほど高くならないと踏んで店を選んだ。
実際、会計金額は私の想定を少し超えたくらいだった。

「んー……」

少し考えたあと、陽川さんが口を開く。

「あとでスイーツ、奢ってください。
それでどうですか」

「それなら、まあ」

「じゃあ、そういうことで」

話もついたので箸を取りながらふと思う。
もしかしてまだ、ここで買い物をするつもりなんだろうか?

ごはんを食べたあとはやはり、買い物は続行だった。

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