黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「最近、仕事が忙しくて買い物なんてしてないんですよ。
おかげでろくな私服がなくて。
今日だってどうしたらいいか頭を悩ませたくらいです」

歩きながら腕を組み、うんうんと彼は頷いているが、別にそんなに困るほどではないと思う。

黒のスキニーにVネックの白Tシャツ、その上に黒のスエットジャケットとシンプルな装いながら彼のスタイルのよさを引き立てていた。
しかも黒革のスリッポンを素足履きはオシャレ上級者だ。

「夏初さんも見たいお店があったら遠慮なく言ってくださいね」

「ありがとうございます」

こんな遠方のアウトレットモールなんて滅多にどころか今回、初めて来たし、アウトレット価格ならいつもよりもいいものが買える。
しかし、私が携帯など支払いツールを出すよりも早く、誰かさんの手が出てくるのがネックだ。

それでもふたりで服を選びあったりして楽しく過ごす。

「これは。
私が自分で買うので」

気に入ったスカートを買おうとしたところで頭の上から出てきた手を押し止める。

「でも」

「陽川さんのお家で使うものは買ってもらいますが、これは私の通勤着です。
私個人のものは私が買います」

< 76 / 287 >

この作品をシェア

pagetop