黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
落ちそうな頬を押さえ、にこにこしてしまう。
陽川さんに出会ってから、美味しいものばかり食べっぱなしだ。

「喜んでもらえてよかったです」

眼鏡の向こうで陽川さんの目がうっとりと細くなる。

「えっ、あっ、……はい」

耐えられなくなった私はもう酔ったかのように熱い顔で、梅酒のソーダ割りをちまちまと飲んだ。

……夜、しかも一緒にお泊まりとなれば、そうなわけで。

「じゃあ、おやすみなさい」

「……ハイ?」

眼鏡を置いて隣のベッドに入り、目を閉じた彼を間抜けな顔で見つめる。

……私が期待、しすぎだった?

そんなことを想定していた自分が恥ずかしくて全身が熱を持っていく。
穴を掘って埋まりたくなって、布団の中に潜り込んだ。

「……なーんて、冗談ですよ」

くすくすとおかしそうな笑い声が聞こえてきて、そろりと布団から顔を出す。
すぐに眼鏡をかけて笑っている陽川さんの顔が見えた。

「うー、陽川さんは意地悪です」

「そうですか」

彼はしれっとしているが、揶揄って遊ぶなんて絶対に性格が悪い。

「そっちに行っても?」

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