黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「あの彼に買ってもらったの?」

「そう」

なんとなく左手で指環を隠す。
いつも着けていてほしいと言われなにも考えずにしてきた指環だが、会社はやめておけばよかったと激しく後悔した。

「ふーん、あの彼と続いてるんだ。
鳥越から聞いたけど彼、弁護士なんだってね」

「う、うん」

ねっとりとした視線が絡み、蛇に睨まれた蛙のようにじわりと汗が滲んでくる。

「いいなー。
イケメンだし、あそこに参加してたってことは将来有望だし。
夜桜にはもったいないよ」

にっこりと彼女は笑ってみせたが、その目は私の心の奥をのぞいているようでぶわりと鳥肌が立った。

「ねえ、夜桜。
彼……晴貴、だっけ?
私に譲ってよ」

……ああ。
篠木さんが犯人だ。

彼女にとってターゲットである晴貴さんを落とすのに私が邪魔だから、罪を着せた。
きっと、ただそれだけなのだ。

確信すると同時に悲しいような淋しいような、なんとも言えない気持ちになった。
苦手ではあったけれど同期だし、よくこうやって一緒にお昼を食べる仲で、他の同僚よりは多少、親密な感情を持っていた。

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