黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
第四章 僕の奥さんになればいい
「これでいいかな、と」

突然の陽川――晴貴さんとのお泊まりデートから帰ってきた日曜日、私は履歴書などの書類を作っていた。

『とりあえず書類を応募してみないか?
転職するかどうかは決まってから考えてもいい』

……と、晴貴さんが事務所の秘書採用への応募を帰りの車の中で進めてきたからだ。

こんなことを言うとまた晴貴さんに怒られそうだが、私が受かる可能性なんてないと思っている。

けれどもし、なにかの間違いでも受かったら?

そのときは停滞していくことに諦めている私から一歩、踏み出せそうな気がした。

「よし」

失礼のない文面になっているか確認し、教えられたアドレスに書類を添えてメールを送信する。
どうしてか少しだけ、気持ちが前向きになったように感じた。


月曜日、会社で私を待っていたのは深刻なトラブルだった。

「……ねえ」

「……ああ」

出社してからなにか、空気がおかしい。
みんな、私を見てはひそひそと話していて気持ち悪かった。

「夜桜。
ちょっと」

朝礼が始まるより先に課長から呼ばれた。
連れていかれた先では社長をはじめ役員たちが集まっている。
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