黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
並んでいる顔を見て自分が通称「査問会」
の対象になったのだと知った。

うちの会社ではよくない疑惑のある社員を役員たちが取り調べることがある。
自分がその対象になったのはわかるが、なぜかは思い当たる節がない。

「営業部の夜桜夏初くんだね」

進行役と思われる副社長が尋ねてくる。

「はい」

「君には使い込みの嫌疑がかかっている」

重く言われた意味が理解できずにしばらく考え込んでしまった。

「……私が、使い込み……?」

「そうだ」

私があまりにも間抜けな顔をしているからか、副社長は苦々しげだ。

「すみません、少々意味がわからないのですが」

「なんだ君はまだしらを切るというのか!」

バンバン専務が机を叩くが、わからないものはわからない。

「今日、全部署にこれが送られてきた」

副社長が机の上になにか紙を滑らせたが、遠すぎて見えない。

「拝見してもよろしいでしょうか」

「ああ」

許可が出たので副社長の前に言って確認する。
A4サイズの紙には【営業部の夜桜夏初は会社の金を使い込んでいる】とマジックのような筆跡で書いてあった。

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