黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「その反抗的な態度、自分がやったと言っているようなものだな」

おかしくもないのにゲラゲラと役員たちが笑いだし、今までこんな会社に我慢して勤めていた自分がわからなくなった。

今度こそ部屋を出てエレベーターではなく非常階段へと回る。

「……はぁーっ」

ひとりになり、膝を抱えて座り込んだ。

「死ぬ……」

何度も心がへし折られそうだったけれどどうにか耐えられた。
しかし、きっと査問会は私が犯人だと白状するまで続く。
思考停止している役員たちの中では私が犯人確定で、真犯人を捜したりしないだろう。

「自分で無実を証すないんだよね……」

とはいえ、恨みを買うような人間は若干一名しか心当たりがない。
その一名に会いに行った。

ちょうど社内にいたその人――鳥越くんは私と目があうとつかつかと勢いよくやってきて、無言で手を掴んで倉庫へと連れていった。

「オレを巻き込まないでくれ!」

ふたりきりになった途端、彼が大きな声を出す。
自分も使い込みに関わっていたと思われるのは嫌なのだろう。
まあ、それはそうだ。

「質問に答えてくれたらもう話しかけない」

「し、質問によっては答えてやる」
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