黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
会社を辞めたら次が決まるまで、生きていけなくなる。

「僕の奥さんになればいい」

「……は?」

この状況で嬉しそうににぱっと笑い、彼がなにを言っているのかわからなくて間抜けにも一音発してその顔をまじまじと見ていた。

「まあ、冗談だがな」

少し赤い顔で彼は咳払いをして誤魔化したが、絶対に本気だったと思う。

「所長が、夏初に会いたいそうだ」

「え?」

それって、書類審査は通過ってこと……?

顔を上げて目のあった彼が、そうだと頷く。

「ほぼ採用は決定だが、一度会って人となりを確認してから決めたいと伝えてくれと頼まれた。
夏初に早く教えたくて何度もメッセージも電話もしたが全然出ないから、心配してたんだ」

「あ……」

浮いてきた涙を見られたくなくて、慌てて拭った。

「うん」

頭上で柔らかい声がして、目の前が暗くなる。
気づいたときには晴貴さんの腕の中に閉じ込められていた。

「ひとりでよく頑張ったな」

促すように彼が私の背中を撫でる。
おかげでとうとう、感情が決壊した。

「う、うわーっ!」

「うん、大丈夫、もう大丈夫だ。
僕がすべての敵から夏初を守る」

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