黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
きょときょととせわしなく目を動かしながらも、彼は横柄に承知した。
「私が会社のお金を使い込んでるって告発文流したの、鳥越くん?」
私を恨んでいる人間など、晴貴さんに恥を掻かされた彼しか思いつかない。
しかし彼はぶんぶんと勢いよく首を横に振った。
「本当に?」
今度はうんうんと首がもげそうな勢いで頷いている彼が嘘をついているようには見えない。
よっぽど晴貴さんが怖かったようだ。
「誰がやったか心当たり、ない?」
斜め上を見て少し考えたあと、彼はまたぶんぶんと首を横に振った。
「そっかー」
私は社内の噂に詳しいわけではないので完全に詰んだが、知らないのなら仕方ない。
「疑ってごめんね。
ありがとう」
「用が済んだのならもう行く」
「ねえ」
そそくさと彼が倉庫を出かけたところで思いついたことがあり、呼び止めた。
「鳥越くんを訴えるのはやめるから、誰が犯人か思い当たる人がいたら教えてほしいなー」
上目遣いで小悪魔的に彼を見つめる。
自分でもこんな取り引きができたんだと意外だった。
「うっ」