黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
こういう憎めないところがあるからなんだかんだ言いながら付き合っていたのだなと、いまさらながら気づいた。

「これ。
コピー頼む。
二十部ずつ」

自分の席に戻ると課長から分厚い書類を渡された。

「はい」

受け取り、コピー機にセットしかけて、もう終わったイベントの、開催案の書類だと気づいた。

「課長。
これ……」

「いいから三十部、コピー」

「……はい」

じろりと睨まれ、コピー機の前に戻る。
たぶん、これは私に無駄な仕事をさせて追い詰める作戦なのだ。
だから部数は適当だから増えている。

「まあ、いいけど」

コピーを取るだけなら、やりながら頭を働かせることができる。
鳥越くんは同期が犯人らしいと言っていた。
鳥越くんと私を除外すると残りは三人。
うちふたりは出向していて研修や行事のときくらいしか顔をあわせない。
そうなると残りは篠木さんになる。

昼休みになったところで課長から声をかけられた。

「休憩は行っていいが、社外に出るなよ。
そのまま逃げられたら困るからな」

はぁんとバカにするように笑われさすがに私でも我慢の限界が来そうになったが、かろうじて耐えた。

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