黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「え?
夏初の手料理はどんなレストランの料理より高級だと思うけど?
依頼料には十分だ」

ちゅっと彼が唇に軽くキスを落とし、それ以上の反論を封じてくる。

「晴貴さんがいいなら、それでいいですけど……」

おかげでそれ以上、なにも言えなくなった。
けれどそうやって私を気遣ってくれているのはわかっているので、いい。

身支度を整えたあとはこのあいだも来たパン屋で遅い朝食を摂る。

「今日はこのあと病院へ行こうと思うけど、いいか」

「え?」

尋ねられ、意味がわからず彼の顔を見ていた。

「昨日のケア、しておかないとだろ」

「でも昨日、晴貴さんが慰めてくれたんでもう平気です」

たった一日で心はすりおろされてボロ雑巾のようにはなっていたが、晴貴さんの優しさに触れてすっかり回復していた。
夜もぐっすり眠れたし、もう大丈夫だ。

「僕は夏初が心配。
こういうのは大丈夫だと思っていてもあとから出てくるんだ」

深刻そうに眼鏡の下で彼の眉が寄る。
そんなに大げさにしないでいいんじゃないかという気もするが、晴貴さんの心配は晴れそうにない。

「わかりました、じゃあ」

「うん」

満足げに彼が頷く。
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