黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
全身エステに行った話もよく聞く。

彼女が私よりもかなり給料をもらっているなら話は別だが、私と彼女ではそう差はないはずだ。
私だったらこれだけのメニューをこなしていたら破産する。

今まではこのあいだのパーティのようなところで知り合った人の援助で、やっているのだと思っていた。
……でも、そうじゃなかったら?

ばくん、ばくんと心臓が大きく鼓動し、手のひらがじっとりと汗を掻く。

……篠木さんが犯人?

彼女が会社のお金を使い込み、その罪を私に着せようとしているのだろうか。
けれど彼女に恨みを買った記憶などない。
いや、ただ単に手近にいる誰でもよかったという可能性も捨てきれないが。
それでもまだ、同期を疑うなんてという後ろめたさもあった。

「……素敵なネイル、だね」

「でっしょー」

自慢するように彼女が、私に見せてくる。

「もーさー、なかなか予約の取れない人気のネイリストでさー。
ツテを頼ってようやくしてもらったんだー。
まあ、その分高かったけど」

うっとりと彼女が自分の爪を眺める。
そのお金は会社からだよねと口から出かかったが、かろうじて飲み込んだ。

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