黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「へー。
そう、なん、だ」

からからに乾いた喉に水を流してどうにか湿らせる。

「てか夜桜、その指環」

篠木さんの視線が向く、右手の薬指を見る。
そこには晴貴さんに買ってもらった指環が嵌まっていた。

「あの彼に買ってもらったの?」

「あー、うん。
そう」

なんとなく左手で指環を隠す。
いつも着けていてほしいと言われなにも考えずにしてきた指環だが、会社は辞めておけばよかったと激しく後悔した。

「ふーん、あの彼と続いてるんだ。
鳥越から聞いたけど彼、弁護士なんだってね」

「う、うん」

ねっとりとした視線が絡み、蛇に睨まれた蛙のようにじわりと汗が滲んでくる。

「いいなー。
イケメンだし、あそこに参加してたってことは将来有望だし。
夜桜にはもったいないよ」

にっこりと彼女は笑ってみせたが、その目は私の心の奥をのぞいているようでぶわりと鳥肌が立った。

「ねえ、夜桜。
彼……晴貴、だっけ?
私に譲ってよ」

……ああ。
篠木さんが犯人だ。

彼女にとってターゲットである晴貴さんを落とすのに私が邪魔だから、罪を着せた。
きっと、ただそれだけなのだ。

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