復讐のために近づいたのに、冷徹御曹司の溺愛から逃れられない
すると御曹司の一人が、私を見つけて近づいてきた。

「これは驚いた。詩織さんがいるとは」

私は顔を背けた。面倒くさい。

「今日、お父さんは?一人で来たの?」

まずい。彼が私を不思議そうに見ている。

「御曹司漁りに余念がないね。社長令嬢は」

「今日は秘書として来てますので」

すると話しかけてきた御曹司は、クククと笑った。

「箱入り娘が秘書?どういう風の吹き回し?」

私が無視すると、御曹司は笑いながら去って行った。

「……社長令嬢だったのか」

「黙っていてすみません。言う必要もないと思っていました」

手に取ったシャンパンを飲み干す。

「秘書歴3年というのは、嘘か」

「それは本当です」

箱入り娘と言われるのが嫌で、グループ会社で社長をしていた兄の秘書だった。
< 12 / 30 >

この作品をシェア

pagetop