復讐のために近づいたのに、冷徹御曹司の溺愛から逃れられない
彼はそっと立ち上がると、私を片手で抱き寄せた。

「実際は?」

彼の顔が近い。吐息が顔にかかりそうだ。

「社長……」

「言ってくれ」

私は一瞬迷ったが、これも復讐の内だと理解した。

「……あなたに抱かれました」

その瞬間、彼に唇を塞がれた。

お互いの唇が触れて、吐息が混ざる。

まるで放さないと言われているようだ。

「あ……」

思わず声が漏れると、彼は唇を離し、私をぎゅっと抱きしめた。

「あの夜から、君の顔が思い浮かんで離れない」

私は目を大きく見開いた。

彼は、もう手に入れた私など、興味ないと思っていた。

だがどうだろう。

この数日間。私を思い浮かべながら平然な顔をして、仕事していたというのか。
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