復讐のために近づいたのに、冷徹御曹司の溺愛から逃れられない
彼はスッと顔を上げた。

「任せるべき部分は、任せてある。君にもそうだろう」

「……そうでしたね」

私はそう言うと、稟議書を持って社長室を出た。

これを見る限り、この会社の実権を握っているのは、彼一人だ。

「崩し甲斐があって、面白いわ」

私はそう言うと、営業部長の元へ稟議書を届けに行った。

「遠藤部長、稟議書です」

「ああ、さっきのね」

遠藤部長は、稟議書を受け取るとため息をついた。

「稟議書なんて、あってないようなものだよな」

そっと呟いたセリフを見逃さなかった。

「そうなんですか?」

「まあ、秘書さんに言っても仕方ないんだけど。社長は自分の意思に反するものは、全て却下だから」

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