復讐のために近づいたのに、冷徹御曹司の溺愛から逃れられない
あの悪魔のような仕事。

彼はまだ35歳と若い。

若さは武器だが、同時に弱さにもなる。

「まあ、そう言わないで」

いつの間にか、神副社長が近くに来ていた。

「今が一番大事な時だから、資金繰りを気にしてるんですよ。社長は」

彼を庇う。さすがは親友だと思った。

「渡辺コーポレーションの令嬢との政略結婚を決めたのも、その為だし」

「渡辺コーポレーション?」

私は耳を疑った。

「渡辺笑奈。やつの婚約者だよ」

私の頭に一計が浮かんだ。

「それは一流企業のご令嬢ですね」

「ああ。結婚すればうちの会社は、より飛躍する」

思わずふふっと、笑みが零れた。

「それはぜひ、結婚していただかないと」

「まあ、あいつにとっては、気の毒な話だがな」
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