復讐のために近づいたのに、冷徹御曹司の溺愛から逃れられない
「あいにく、秘書は間に合っていますね」

無視すればいいのに、彼は誠実に答えてくれる。

「神城社長」

私は彼の腕を掴んだ。

「私を雇って、後悔はさせません」

その瞬間、彼の瞳が揺れた。

私は彼のその瞳をじっと見つめた。

「……いつから来れる?」

「明日からでも」

「では、明日の9時にここで会おう」

「きっとですよ」

私はそれだけ返事をして、彼から離れた。

エントランスを抜けていく彼の姿が、まるで的に見えた。

「これでようやく始まるわ」

私は踵をひるがえすと、オフィスビルの外に出た。

神城明哉。絶対に、父の敵はとってあげる。

私の家族を滅茶苦茶にしたように、あなたの人生も滅茶苦茶にしてあげる。

そう誓った。
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