黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい
店の方で母の慌てる声がする。
そして男の怒声。
ついに来たわね……。
部屋でクティとともに静かに待機していたオーロラは意を決して立ち上がった。
「行くわよ。クティ」
「うん」
クティがすーっと姿を消すとオーロラは歩き出す。
運命の日だ。
「お母さん?」
「オ、オーロラ……」
母のベラは立ち尽くすように目の前の真っ赤な髪の中年の男を見上げていた。
「この娘だな。ほう。なかなかのものじゃないか」
にやりとその男の顔が不気味な笑顔になる。
「な、なんとおっしゃってもオーロラを渡すことは……」
「お母さん!この方は?」
オーロラは母の言葉を遮るように言うとじっと目の前の男を見据えた。
オーロラの実の父、グッドフェロー公爵だ。
赤い髪にゴールドの瞳。
まったくオーロラと同じ色をした男。
今日、この男はキノックス領で赤い髪にゴールドの瞳の美しい少女を見かけたという部下からの報告を聞いてはるばる王都から北の果てまでやってきたのだ。
オーロラのように真っ赤な燃えるような髪はグッドフェロー公爵家の特徴。
世界中を探してもそんなにいるものではない。
さらにゴールドの瞳となると自分の娘に違いないと思いやってきたところ、母を見て昔戦場で一時期付き合っていた女だと気づいたようだ。
「この娘はわたしが産んだ娘で……」
「お母様。この方、わたしと同じ髪の色をされているわ」
絶対に母にこの先の言葉を言わせてはならない。
『死んでもオーロラを渡すものですかっ!』
そう言ってその場で母は父から切り付けられた。
そしてそれが致命傷となって死んでしまったのだ。
奥歯をぎりりとかみしめながらオーロラはそのまま続けた。
「も、もしかしてこの方は……」
「オーロラ?」
「ほう。何か気づいたようだな。なかなかによく効く目のようだ。よく見ると利口そうではないか?」
オーロラはじっと父の目を見た。
怯んではならない。
前世では怯んで目をそらした。
絶対に目をそらすものですか。
「ほう。肝も据わっているようだな。気に入った。連れて帰るぞ」
「お、お待ち……」
「お母様、この方はわたしのお父様ですね」
店にいた客は一連の出来事にシンと静まり返っていたが、ひそひそと内緒話をしはじめた。
そして男の怒声。
ついに来たわね……。
部屋でクティとともに静かに待機していたオーロラは意を決して立ち上がった。
「行くわよ。クティ」
「うん」
クティがすーっと姿を消すとオーロラは歩き出す。
運命の日だ。
「お母さん?」
「オ、オーロラ……」
母のベラは立ち尽くすように目の前の真っ赤な髪の中年の男を見上げていた。
「この娘だな。ほう。なかなかのものじゃないか」
にやりとその男の顔が不気味な笑顔になる。
「な、なんとおっしゃってもオーロラを渡すことは……」
「お母さん!この方は?」
オーロラは母の言葉を遮るように言うとじっと目の前の男を見据えた。
オーロラの実の父、グッドフェロー公爵だ。
赤い髪にゴールドの瞳。
まったくオーロラと同じ色をした男。
今日、この男はキノックス領で赤い髪にゴールドの瞳の美しい少女を見かけたという部下からの報告を聞いてはるばる王都から北の果てまでやってきたのだ。
オーロラのように真っ赤な燃えるような髪はグッドフェロー公爵家の特徴。
世界中を探してもそんなにいるものではない。
さらにゴールドの瞳となると自分の娘に違いないと思いやってきたところ、母を見て昔戦場で一時期付き合っていた女だと気づいたようだ。
「この娘はわたしが産んだ娘で……」
「お母様。この方、わたしと同じ髪の色をされているわ」
絶対に母にこの先の言葉を言わせてはならない。
『死んでもオーロラを渡すものですかっ!』
そう言ってその場で母は父から切り付けられた。
そしてそれが致命傷となって死んでしまったのだ。
奥歯をぎりりとかみしめながらオーロラはそのまま続けた。
「も、もしかしてこの方は……」
「オーロラ?」
「ほう。何か気づいたようだな。なかなかによく効く目のようだ。よく見ると利口そうではないか?」
オーロラはじっと父の目を見た。
怯んではならない。
前世では怯んで目をそらした。
絶対に目をそらすものですか。
「ほう。肝も据わっているようだな。気に入った。連れて帰るぞ」
「お、お待ち……」
「お母様、この方はわたしのお父様ですね」
店にいた客は一連の出来事にシンと静まり返っていたが、ひそひそと内緒話をしはじめた。