黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい
◇
ヒズルの屋敷は王都ダノンソードの郊外にあった。想像していたより粗末な屋敷で驚く。
「ここがあの女の母親の家か」
「お父様が用意された家ですし、あの女ではありません」
馬車から降りるなり吐き捨てるように言った兄のシーヴァを窘める。
「え?」
「お兄様とわたしの妹ですわ」
「ま、まぁそうだが」
「入りましょう」
躊躇しているらしい兄を後ろから押すようにしながらオーロラは屋敷に足を踏み入れた。
平屋建てで公爵家のどの別荘よりも粗末なその屋敷の庭は荒れ果て、外壁は一部ヒビが入り手入れはまったくされていないことが明白。父はずっとこの屋敷に足を踏み入れていなかったに違いない。
「ひどいな」
「ええ」
シーヴァもあまりのひどさに眉を顰めている。
「父上はここに来たことがあったのか?」
入り口にたどり着き、玄関にあるノッカーを鳴らすが誰もでてこない。数度鳴らしたがでてこないのでシーヴァは扉を開いた。
「入るぞ」
するとホールの奥から使用人らしき年配の女性が出てきた。腰が曲がっている。
「いらっしゃいませ」
「この家はノッカーが聞こえる者もいないのか」
「申し訳ありません。使用人はわたしを含めて三名しかおりません。わたし以外は皆買い出しに出ておりまして」
使用人が三人。
ひどい暮らしになるはずだわ。
「この家の主人はどこにいる?」
「あの……ご客人様は失礼ですが……」
「シーヴァ・グッドフェロー。グッドフェロー公爵の長男とそしてこちらが……」
「オーロラ・グッドフェロー。グッドフェロー公爵の長女にございます」
「まぁそうでしたか。失礼をいたしました。奥様は今臥せっておられまして、ご客人をお迎えできる状態では……」
やはり病気なのね。
「どうしても会う必要がある。出迎えが無理であればこちらから出向こう。どちらにおられる?」
「そ、それであれば奥様に確認を」
「その必要はない。主人の寝室でかまわない。案内しろ」
兄の態度はわかる。
自分の母の侍女だった女性だ。
それが自分の母、そして自分の地位を脅かしているのだ。
だが、この態度ではなかなか信頼は得られない。
「奥様はご病気なの?」
オーロラは年配の使用人にやさしく問うた。
「はい」
「長いの?よければ何のご病気か教えてもらえるかしら?」
やさしくゆっくり聞くと、その年配の使用人は初めてオーロラと目を合わせた。顔はしわだらけでふつうの茶色い瞳をしているが、なんとなく不思議な瞳だ。年配の女性なのに瞳にはなぜか若者のような力を感じるのだ。
ヒズルの屋敷は王都ダノンソードの郊外にあった。想像していたより粗末な屋敷で驚く。
「ここがあの女の母親の家か」
「お父様が用意された家ですし、あの女ではありません」
馬車から降りるなり吐き捨てるように言った兄のシーヴァを窘める。
「え?」
「お兄様とわたしの妹ですわ」
「ま、まぁそうだが」
「入りましょう」
躊躇しているらしい兄を後ろから押すようにしながらオーロラは屋敷に足を踏み入れた。
平屋建てで公爵家のどの別荘よりも粗末なその屋敷の庭は荒れ果て、外壁は一部ヒビが入り手入れはまったくされていないことが明白。父はずっとこの屋敷に足を踏み入れていなかったに違いない。
「ひどいな」
「ええ」
シーヴァもあまりのひどさに眉を顰めている。
「父上はここに来たことがあったのか?」
入り口にたどり着き、玄関にあるノッカーを鳴らすが誰もでてこない。数度鳴らしたがでてこないのでシーヴァは扉を開いた。
「入るぞ」
するとホールの奥から使用人らしき年配の女性が出てきた。腰が曲がっている。
「いらっしゃいませ」
「この家はノッカーが聞こえる者もいないのか」
「申し訳ありません。使用人はわたしを含めて三名しかおりません。わたし以外は皆買い出しに出ておりまして」
使用人が三人。
ひどい暮らしになるはずだわ。
「この家の主人はどこにいる?」
「あの……ご客人様は失礼ですが……」
「シーヴァ・グッドフェロー。グッドフェロー公爵の長男とそしてこちらが……」
「オーロラ・グッドフェロー。グッドフェロー公爵の長女にございます」
「まぁそうでしたか。失礼をいたしました。奥様は今臥せっておられまして、ご客人をお迎えできる状態では……」
やはり病気なのね。
「どうしても会う必要がある。出迎えが無理であればこちらから出向こう。どちらにおられる?」
「そ、それであれば奥様に確認を」
「その必要はない。主人の寝室でかまわない。案内しろ」
兄の態度はわかる。
自分の母の侍女だった女性だ。
それが自分の母、そして自分の地位を脅かしているのだ。
だが、この態度ではなかなか信頼は得られない。
「奥様はご病気なの?」
オーロラは年配の使用人にやさしく問うた。
「はい」
「長いの?よければ何のご病気か教えてもらえるかしら?」
やさしくゆっくり聞くと、その年配の使用人は初めてオーロラと目を合わせた。顔はしわだらけでふつうの茶色い瞳をしているが、なんとなく不思議な瞳だ。年配の女性なのに瞳にはなぜか若者のような力を感じるのだ。