秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
社長が誰かに嫉妬するなんて――

まして、それが私に向けられるなんて。

(考えすぎ、だよね)

そう言い聞かせるのに。

なぜか、胸の奥が少しだけ熱くて――

落ち着かないまま、私は視線をタブレットに落とした。

「ねえ、聞いた?」

給湯室の前を通りかかった時だった。

ふと、女子社員たちの声が耳に入る。

「何が?」

「社長の話。もうすぐ結婚するって」

思わず足が止まった。

(……え?)

「やっぱりそうなんだ。前から噂あったよね」

「うん。相手、どこかの大企業の令嬢らしいよ」

「完全に政略結婚ってやつでしょ?」

楽しげな声が、やけに遠く聞こえる。

「まあ、あの人なら当然だよね。釣り合う相手なんて、それくらいしかいないでしょ」

「確かに。恋愛とかしなさそうだもんね」
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