秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
小さく笑う声。

「そもそも、ああいう人って仕事が一番でしょ。誰か一人に執着するタイプじゃないよ」

「だよね。だからこそ、結婚はビジネスって感じ」

――ビジネス。

その言葉が、胸の奥に刺さる。

「でも奥さんになる人、羨ましいよね。あの社長に選ばれるなんて」

「ほんと。完璧な遺伝子だし、将来も安泰だし」

「しかもあの顔でしょ?毎日一緒にいられるとか、勝ち組すぎる」

笑い声が重なる。

何もかもが、当たり前のように語られていく。

(……そう、だよね)

久遠司という人は、そういう存在だ。

誰もが認める完璧な男。

会社のトップで、将来も約束されている。

だからこそ、結婚も――

「愛果さん?」

はっとして振り返る。

別の部署の女性が、こちらを見ていた。

「あ、いえ……」
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