秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
会えば、きっとまた苦しくなる。

分かっているのに。

(それでも……会いたいって思ってる)

会社のビルが見えてくる。

夜のオフィスは、昼間とは違う静けさに包まれていた。

エレベーターに乗り、最上階へ。

扉が開くと、誰もいないフロアに足音が響く。

社長室の前で、立ち止まる。

(大丈夫……)

深く息を吸って、ノックする。

「入れ」

低い声が、すぐに返ってきた。

ドアノブに手をかける。

その瞬間、胸が大きく鳴った。

(ただの仕事……)

そう言い聞かせて、扉を開ける。

「失礼いたします」

中に入ると、デスクの向こうに――

久遠司が、いつもと同じ完璧な姿で立っていた。

でも、その視線だけがどこか、いつもと違って見えた。
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