秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
言葉が、零れる。もう止められない。

「好きなんです。ずっと前から」

小さく、でもはっきりと。

社長の手が、わずかに強くなる。

「だから……一度だけでいいんです」

視線を重ねたまま、告げる。

「ちゃんと終わらせたいんです」

これで区切りをつける。

この恋に、けじめを。

そう思っているのに――

(どうして……こんなに、苦しいの)

答えは、分かっている。

本当は、終わらせたくなんてないから。

それでも。それでも私は、選ぶしかなかった。

「……お願いします」

最後に、そう言って私はすべてを、差し出した。

その一言のあと――社長の手が、強く私を引き寄せた。

「……っ」

気づいたときには、腕の中に閉じ込められている。

逃げ場なんて、最初からなかったみたいに。

「そんな事言われたら……」
< 24 / 90 >

この作品をシェア

pagetop