秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
低く、抑えた声が耳元に落ちる。

「加減できなくなる」

そのまま、そっと唇が触れた。

優しく、確かめるような口づけ。

けれど次の瞬間――深く、奪われる。

「……ん……」

思わず息が漏れる。

こんなふうに触れられたことなんて、一度もないのに。

どうしてか、拒めない。

「愛果……」

名前を呼ばれるたびに、胸が震える。

そのまま体勢が変わり、ソファに押し倒される。

視界が揺れて、天井が遠くなる。

「本気で抱くからな」

真剣な声。逃げ道なんて、最初から用意されていない。

「はい……」

小さく答えると、社長の表情がわずかに変わる。

「止めて下さいって言っても、止まらないから」

その言葉に、胸が締めつけられる。

――それでもいい。

そう思ってしまう自分がいる。

返事の代わりに、私は社長の肩に腕を回した。
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