秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
――気づいたら、朝だった。

柔らかな光がカーテンの隙間から差し込んでいる。

ぼんやりとした意識の中で、隣に誰かの気配を感じた。

「……ん……」

まぶたを開けると、すぐ近くに社長の顔があった。

一瞬、息が止まる。

「おはよう、愛果」

低く穏やかな声。

昨夜とは違う、どこか優しい響き。

「……おはようございます」

かすれた声で返す。夢じゃない。

全部、本当に起きたこと。

(ああ……)

思い出した瞬間、胸がじんわりと熱くなる。

そして同時に、少しだけ痛む。

(今日が休みでよかった……)

こんな状態で、平然と仕事なんてできない。

そっと起き上がろうとした、その時。

「どこ行く」

腕を引かれて、再び引き寄せられる。

「……社長」
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