秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
社長の指が、頬に触れる。その仕草が、あまりにも自然で。

「……社長」

言わなきゃいけない。これは、一夜だけのはず。

終わりにするための時間だった。

「これで……」

言いかけた瞬間。

「忘れられると思ったのか」

低く、はっきりとした声。

息が止まる。視線が絡め取られて、動けない。

「一度抱いたくらいで、終わると思ってるなら――甘いな」

逃がさない、と言わんばかりの眼差し。

胸が、大きく鳴る。

(そんな……)

終わりにするはずだったのに。

この人は、最初から――終わらせるつもりなんて、なかった。

涙が、静かに頬を伝った。

「……いいんですか?」

かすれる声で問いかけると、司がわずかに目を細める。

「そんなに嬉しいのか」

「嬉しいに決まってるじゃないですか……」
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