秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています

第3章 溺愛の始まり

「今日の外出ですが――」

スケジュールを確認しながら口を開いた、そのときだった。

「愛果」

名前を呼ばれて、顔を上げる。

「一緒に来てくれ」

一瞬、言葉の意味が分からなかった。

「……はい?」

「外回りだ。同行してくれ」

淡々と告げられる。けれど、その内容はいつもと違う。

「ですが……」

思わず言葉がこぼれる。

「本日の打ち合わせは、現地での合流予定になっています。私は社内で調整業務を――」

「いいんだ」

ぴしゃりと遮られる。

「黙ってついてくればいい」

その一言に、胸が小さく跳ねる。

(また……)

最近、こういうことが増えている。

外出の同行。食事の同席。

必要以上に、近くにいさせるような指示。

「……承知しました」

逆らえるはずもなく、頭を下げる。
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