秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
「午後の打ち合わせも同行しろ」

「……はい」

迷いながら頷く。本当は、分かっている。

これが普通じゃないことくらい。

「社長」

思い切って口を開く。

「私……一緒にいてもいいんでしょうか」

問いかける声が、少しだけ弱くなる。

司は一瞬だけ私を見て――

「構わない」

迷いなく答えた。

それだけのはずなのに、胸が揺れる。

「でも……」

言葉が続く。

「本来は、ここまで同行する必要は――」

「俺がいいと言ってるんだ」

ぴたりと遮られる。

それ以上、何も言わせない声音。

「……はい」

それしか言えなかった。

(どうして……)

こんなにも、近くにいさせるのか。

理由が分からないまま、ただ従うしかない。

ホテルのロビーに入ると、自然と隣に並ぶ。
< 35 / 90 >

この作品をシェア

pagetop