秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
「おまえは、俺の隣にいればいい」

静かに、でも確信を持って言われる。

その一言が、胸の奥に深く落ちていく。

(そんなこと……)

ただの秘書に、許される距離じゃない。

それでも。

「……はい」

頷いてしまう。

もう、離れる選択肢なんて――どこにも残っていなかった。

出張先の夜。

仕事が終わったはずなのに、気持ちはまったく休まらなかった。

「……社長」

部屋に入った瞬間、距離が一気に近づく。

「どうした」

低い声と同時に、抱き寄せられる。

その腕は、もう遠慮がない。

あっという間に組み敷かれ、社長と体が重なった。

「こんなに……一緒にいたら……」

言葉が途切れる。

快感が押し寄せる度に、思い知らされる。

(離れられない……)

「何を言いたい」

耳元で囁かれて、体が震える。

「……忘れられません」

正直な気持ちだった。
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