秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
「え?」

思わず聞き返す。

「通常は、現地で合流ですよね?」

「ああ。だが今日は車で行く」

「……私も、ですか?」

「他に誰がいる」

当然のように言われて、言葉を失う。

今までこんなこと、一度もなかった。

「何か問題でもあるか」

「いえ……」

問題なんて、ない。ただ――

「分かりました。準備いたします」

頭を下げながら、胸の鼓動が少しだけ早くなる。

これは、仕事。ただの業務の一環。

そう言い聞かせても。

(どうして、こんなに気になるの……?)

完璧な社長と、秘書。

本来、越えるはずのない距離が――

ほんの少しだけ、揺らいでいる気がした。
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