秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
その中に、自分が混ざることができない。

(どうして……こんなことに)

胸の奥が、じくじくと痛む。

あの夜。そして、その後の時間。

後悔は、していないはずなのに。

「……でも」

もし、本当に妊娠していたら。

社長に伝えたら、どうなる?

一番に浮かんだのは――

(秘書、辞めさせられるかもしれない)

その考えだった。

今の関係は、すでに危うい。

噂も広がっている。

そこに“それ”が加わったら――

(終わる)

仕事も、居場所も。全部、失うかもしれない。

「そんなの……困る」

声が震える。ここで働くことは、私にとってすべてなのに。

それなのに――

(でも、できてたら……?)

逃げることなんて、できない。

現実は、変わらない。
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