秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
「理由を聞かせてくれ」

低く静かな声。

「納得いく理由なら、俺も受け入れる」

その一言で、逃げ場がなくなる。

「……っ」

体が震える。言えない。

本当の理由なんて――絶対に。

(妊娠かもしれないなんて……)

そんなこと、口にできるはずがない。

「……私が」

やっとの思いで声を出す。

「私が……社長の側にいる資格が、ないからです」

震えながら、それだけを絞り出す。

本当は違う。

でも――それが、精一杯の嘘だった。

「資格がない?そんなことはない」

即座に否定される。

迷いのない声に、胸が揺れる。

「お前以上に、俺の側にいる理由がある人間なんていない」
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