秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
「彼女を秘書として置き続けるおつもりなら」

玲華の声が、さらに低くなる。

「然るべき対応をお考えください」

その言葉で、すべてが決定づけられた気がした。

(……終わりだ)

自分の居場所が、完全に否定された。

ゆっくりと、足を動かす。

これ以上ここにいる理由なんて、ない。

(私が……間違ってた)

胸の奥が、じわりと痛む。

好きになってはいけない人を好きになって。

踏み込んではいけない距離に、踏み込んで。

その結果が――これ。

(分かってたはずなのに)

それでも、離れられなかった。

でも、もう。

「……ここまでだよね」

小さく呟く。

誰にも聞こえない声。

それでも、自分に言い聞かせるように。

(終わりにしなきゃ)

そう思いながら私はその場から、静かに離れた。
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