秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
「はい。終わったら持っていきますね」

「助かります」

自然なやりとり。

こういう気遣いは、正直ありがたい。

「愛果さんって、やっぱりすごいですよね」

コピー機の前で並びながら、村田さんが言う。

「社長のスケジュール管理、完璧じゃないですか」

「そんな……まだまだです」

「いや、あの人にここまでついていける人、なかなかいませんよ」

ふっと笑われて、少しだけ頬が熱くなる。

「でも、無理しすぎじゃないですか?さっきも顔色――」

「平気です。慣れてますから」

そう答えた時。

「……ずいぶんと余裕だな」

低い声が、背後から落ちてきた。

はっとして振り返る。

「社長……」

いつの間にか、そこに社長が立っていた。

「資料はどうした」

「今、コピーを――」

「それは秘書の仕事だろう」
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