秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
静かに、でもはっきりとした声が響いた。

――時間が止まる。

「……え?」

自分の声とは思えないほど、かすれた音が出た。

(今……なんて?)

思考が追いつかない。

玲華も、初めて表情を崩した。

「……冗談、ですよね?」

静かに問いかける声。

けれど、その奥には明らかな動揺があった。

「冗談でこんなことは言わない」

司は一切迷いなく答える。

「最初から決めている」

その視線が、まっすぐ私に向けられる。

逃げ場なんて、どこにもない。

「愛果」

名前を呼ばれて、息が止まる。

「お前と結婚する」

その一言が、現実を塗り替える。

(……そんな)

あり得ない。そんなこと、できるはずがない。

「社長……それは」

言葉が続かない。何を言えばいいのか、分からない。
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