秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
「婚約の話は断る」

淡々と、でも断言する。

「最初からそのつもりだった」

「そんな……」

玲華の声が揺れる。

「それでは、両家の話はどうなるのですか」

「どうにかする」

簡潔な答え。迷いがない。

「俺が決めることだ」

その一言で、すべてを押し切る。

(どうして……)

こんなことになるの。

こんな展開、想像していなかった。

「……愛果」

再び名前を呼ばれる。

その声は、さっきまでの怒りとは違っていた。

少しだけ、柔らかくて。

でも――逃がさない強さを持っている。

「お前はどうする」

問われる。選択を突きつけられる。

(……私が?)

頭の中が真っ白になる。
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