秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています
社長の腕が、少しだけ強くなる。

「壊さない。俺がいる限り、何も壊させない」

その言葉に、息が止まる。

(……どうしてこんなふうに言えるの)

迷いもなく、揺らぎもなく。

「……社長」

名前を呼ぶと、すぐに視線が降りてくる。近い。

「まだ、不安か」

「……少しだけ」

素直に答える。強がっても、意味がない。

「そうか」

短く呟くと、指先で頬に触れられる。

そっと、優しく。

「なら、慣れろ」

その一言に、思わず目を見開く。

「これが普通になる」

静かに、でも確信を持って言われる。

「お前は、俺の隣にいる」

逃げ場を与えない言葉。でも――

(嫌じゃない)

むしろ、安心してしまう。

「……はい」

小さく頷く。その瞬間、軽く口づけられた。
< 81 / 90 >

この作品をシェア

pagetop