闇深兄の溺愛 〜甘いデザートには、一滴の毒を〜
「ご飯ご馳走さま。……じゃあ、そろそろ戻るね」
夕食を終え、立ち上がろうとしたその時、
手首がそっと掴まれた。
「今日は、ここに泊まっていけばいい」
思わず、その言葉に振り返る。
「……え? でも、昨日も泊まっちゃったし……」
「明日から、もう授業だろ。生活リズムが整うまでは大変だし、お前の部屋はまだ片付いてない。……何より、一人で眠れるのか?」
意地悪そうに目を細める颯に、
私は言い返せなくなった。
確かに、まだ部屋は段ボールだらけ。
そこに一人で寝るのは、少しだけ心細くもある。
「いいか、美桜。困ったことがあれば、何でも俺に言って。他の誰かじゃなくて……俺に一番に頼るって、約束だ」
「……うん、わかった。約束する」
私が素直に頷くと、
彼は私を引き寄せ、優しく、
だけど逃がさないように
ぎゅっと抱きしめた。
「……いい子だ」
ふわりと私を包む、
彼の清潔感あるシトラスの香り。
突然の密着に私の心臓は大きく鳴ったけど、
背中に回された彼の手の温もりは、
不思議と心地よくて。
颯がいてくれれば、
どんな不安も消えていく気がした——。