闇深兄の溺愛 〜甘いデザートには、一滴の毒を〜

第1章 学園の王子様の秘密


翌朝。
洗い立てのようなふわふわな毛布、シワ一つないシーツ。

そして私の好きなパステルカラーの
クッションに囲まれながら目を覚ました。

ふと横を見れば、私がよく読む雑誌や、
昔から好きなキャラのグッズが新品のビニールや箱に入ったまま置かれていて、


颯が用意してくれた部屋は、まるで「私専用の”展示部屋”」のようだった。


完璧に作られた部屋を抜け、リビングへ向かうと、
どこからか食欲をそそるガーリックの香りが漂ってきた。


「……なにしてるの?」


重たいまぶたを擦りながら、
キッチンに立つ背中に向かって聞く。


「ペペロンチーノだよ。昨日、食べたいって言ってただろ?」

「えっ、朝から!?」


朝の柔らかな日差しの中で、
颯が眩しいほどの笑顔で振り返った。



「美桜の“食べたい”は最優先事項だからな」



(ちょっと言っただけなのに……)



だけど、フライパンを振るその姿はどこか楽しそうだった。
その時、ふとテレビ横に置かれた古い写真が目に入る。


——泣きそうな顔の私が、少し困ったように笑う颯の服の裾をぎゅっと掴んでいる。


(この写真……まだ持ってたんだ)


泣き虫だった私を、
彼はいつだって守ってくれていた。


迷子になりそうになっては、
「離れるなよ」と必ず手を差し出してくれた。


その写真は日に焼けたように褪せていて、
ずっと置かれていたことがわかる。


(私がいない間も、ずっとここにあったのかな……)


そう思うと、自然と笑みが溢れた。
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