闇深兄の溺愛 〜甘いデザートには、一滴の毒を〜
第12章 バッグに詰められた重み
いよいよ文化祭まで、
あと1日に迫った朝。
「はい、これ。今日からいよいよ準備も大詰めだろ? 栄養のあるもの食べないと、途中で倒れるかもしれないから」
そう言って颯に手渡されたのは、
ずっしりと重みのあるお弁当箱だった。
「わあ、ありがとう。わざわざ作ってくれたの?……お兄ちゃん、これは?」
お弁当袋と一緒に渡された、
見覚えのないスエードの小さなポーチ。
手に乗ったそれは、
見た目以上にずっしりと重い。
「それも持っていって。夏休み、俺の部屋で勉強を頑張った美桜へのご褒美」
「えっ……重いけど、何が入ってるの?」
「それは、お前が本当に困った時までのお楽しみ。片時も離さず、バッグの中に入れておいて」
颯は穏やかな笑顔で、
私のバッグの底にそのポーチを押し込んだ。
——私の自由の中に、
彼の重みを忍ばせるかのように。
***
大学に着くとキャンパス内は、
明日の文化祭本番に向けて準備をする
学生たちの活気で溢れ返っていた。
お昼休み。
実行委員のメンバーと中庭のベンチで、
今朝、颯に渡されたお弁当を広げる。
蓋を開けた瞬間、
隣にいた女子たちが「わあ~!」と声を上げた。