闇深兄の溺愛 〜甘いデザートには、一滴の毒を〜
「すごーい! デコ弁!? しかもこれ、全部手作り?」
「『ミオ、ガンバレ!』って……。佐伯先輩、どんだけ妹大好きなのよ」
「あはは……」
彩り豊かなおかずと、
ご飯の上に海苔で丁寧に貼られたメッセージ。
あまりの完成度の高さに、
私は嬉しいような、少し恥ずかしいような、
くすぐったい気持ちになった。
「でも、ここまで完璧だと……他の男が作った飯とか、もう食べられなくなっちゃうんじゃない?」
隣でコンビニのパンを齧る碧くんが、
苦笑いしながら言った。
その言葉に、膝に乗せた
バッグの底のポーチが、ふいに重くなった気がした。
「そんなこと、ないよ……?」
私は笑って否定したけれど、
軽く言ったはずの碧くんの言葉は
私の胸に深く残った。
***
「……よし、これで最後」
夕方、私は実行委員の備品である
ガムテープを返却しに、
校舎の裏にある
古い備品倉庫へと向かった。
日の差し込まない倉庫の周辺は暗く、
ひっそりと静まり返っている。
(この辺、暗くて人もいない。ちょっと怖いな……)
私は重い扉をゆっくりと開けた。
すると、埃っぽい匂いの中に
ふわりと場違いなほど清潔な
”あの”香りがした。
倉庫の奥、一台の作業用デスク。
小さな電球の下で、
何かの紙を熱心に眺めていたのは、
颯だった。