闇深兄の溺愛 〜甘いデザートには、一滴の毒を〜
第2章 陽だまりと苦いシュガー
大学登校2日目。
相変わらず周囲からの
痛いほどの視線を浴びながら
私たちはキャンパス内を歩いていた。
(もしかして、私と一緒にいたいからずっとついてきてくれてるのかな。……なんて、そんなわけないよね。私がおっちょこちょいだから、心配してくれてるだけ)
そんな期待と否定を繰り返しているうちに、
別れ道に辿り着き、私は足を止めた。
「もうこの辺で大丈夫だよ。あとは一人で行けるから」
「……もういいのか?」
その時、前から一人の男子学生が
小走りにこちらに近づいてくる。
「おーい、佐伯。さっき教授がお前のこと——」
「大丈夫だから、お兄ちゃんは先行って?探されてるみたいだし」
颯は一瞬困ったように眉を寄せると、
私に念を押すように目線を合わせた。
「……なら、終わったらすぐ連絡しろよ。知らないやつに声かけられても、ついて行ったらだめだからな。いいな?」
言いながら颯が
私の乱れた前髪を軽く整える。
「わ、わかってるって……近い……」
顔を熱くする私を見て、
彼は目を細めて笑うと、
「じゃあな」と軽く手をあげ男子学生と去っていった。
***
「えーっと、どこの建物だっけ……」
案の定、私は颯と別れてから
ものの数分で迷子になった。
まだ慣れない大学。
広いキャンパス、見慣れない景色、人の波。
今まで誰かに頼って生きていた私は、
一人になると何もできないことを改めて痛感する。
颯に連絡しようか迷っていた時、
一人の男子が声をかけてきた。
「……もしかして、教室探してます?」