おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 琉実は、高校時代から、美容系V-tuberとして活動しており、知る人ぞ知る、という存在だった。一方、兄のほうも、学生時代から、デザイナーとしての活動をしており、ふたりが巡り合うのは必然だったのかもしれない。琉実がおれの幼馴染みと聞き、兄は、琉実を紹介して欲しいとおれに頼み――その後、どんな展開が起きるだなんて、想像もしなかったのだ。高校時代に一度写真を撮ったが、……琉実への想いを抑えきれないおれは、そっと、肩を組むふりなんかをしてみた。あれを琉実が見つけたとてどうとも思わないに違いないが。

 美容専門学校時代は、わき目もふらず、勉強した。……まあ、それなりに、遊びもしたが。高校時代も堂々と美容を学べた琉実に比べると遅れをとっている。告白するなら、ちゃんと、エビデンスを得てから……しっかりと、自分で稼げる見通しがたってから。立派な大人になってから……と、考えていた。

 卒業制作のテーマも無事決まり。おれは、女性を美しく見せるドレス、を選んだ。アンティークレースをあしらったもので、勿論全部手縫いだ。これが完成したときは、琉実に、プロポーズをしようと決めていた。ところが。
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