おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 彼とは意気投合して、出会ってすぐに交際開始をし……活動拠点をパリに移した彼とは遠距離恋愛が続いていた。けども、寂しくはなかった。彼のいるパリを訪れるのも楽しかったし、……活躍する彼がまぶしかった。そんな彼の支えになれることがわたしの幸せだった。

 結婚するの、と答えたわたしはずるかったのかもしれない。けど……それ以外にどう、応えようがあろうか。

 けども、この煩悶は終結する。……れんちゃんに、好きなひとが出来たというのだから。本当に、……よかった。

 思い上がっているわけではないけれど。ただ、れんちゃんは……ずっと、わたしのことが好きだった。そのことが伝わっていたから。鈍感なわたしは気づきもせず……いや、不都合な現実から目を背けていたのかもしれない。コスメ仲間という意識で彼のことを縛り付けるべきではなかったのだ。だから、彼は――

 美容への道を、断念した。

 わたしのせいだろうか。きっと……そうだろう。この罪は、わたしが、生涯背負っていくべきもの。あれかられんちゃんとろくに……話せずにいる。連絡が来るのは何年振りか。思い出せないくらいに昔だ。
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