おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 さっすがインフルエンサーともなると住む世界が違う。びっくりするくらいにゴージャスな、エントランスにコンシェルジュがいるマンションに辿り着いたときに、腰が引けるかと思った。高級ホテルかいな。

 でも――負けない。

 蓮二は、わたしの恋人なんだから。――渡さない。

 受付で通して貰ってエレベーターに乗り部屋へと向かう。ドアを開いたのはあなただった。気まずそうなあなたの顔を……そんなあなたの顔をわたしは、見たくはなかった。

「おはよう蓮二」気づかぬふりを貫くのも流儀だと思った。「琉実さんは……起きている? 大丈夫?」

「いや、うん……」言葉を濁す蓮二。「とにかく入って」

 入って見て愕然とした。蓮二が躊躇ったのも分かる。室内は……雑然としていた。

 脱ぎ散らかされた衣類。使用済みのタオル。……があちこちに散らかっており、広い部屋なのに、画家が書きなぐったみたいに汚れていた。ドレッサーには口紅で落書きが。……幸一さんは、この部屋に住んではいないのだろうか? 疑問を、抱いた。
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