おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 慣れた様子で蓮二が琉実さんのものと思われる衣類を持ち上げ、どかしていき、道を空ける……さまが、なんだか、他人のように思えた。蓮二がこの家に住んでいると言われたほうが説得力がある。けども、……彼は、わたしのものなのだ。

 許さない。許せない。

 蓮二と向き合ってソファーに座った。流石に彼の顔にも疲れが見える。

「昨日は、……このソファーで眠ったの?」

「いや」と蓮二は目を伏せた。「琉実が落ち着くまで……傍で見守っていた。そっから床で寝ていたみたいだ。記憶がない」

「そっか」ふ、とわたしは息をこぼした。「琉実さんが……そんなにも大切なんだね。よく分かったよ。……蓮二がわたしにしてくれたことについては、感謝している。けど、……蓮二にとって、琉実さんは、特別な存在、なんだよね。最愛の恋人を一晩放置出来るくらいには」

 ――ああ。

 責めたくなんかないのに。暴きたくなんかないというのに。誰にだって、ひとには言えない秘密の一つや二つ、抱えているものだ。蓮二たちのプライバシーを蹂躙することがわたしの目的ではない。伝わって……いるのだろうか。分からない。
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