おれが、おまえを、可愛くしてやる。
「悪いと思ってんなら幸せになれよ義姉さん。……後ろを見てご覧よ」

「……えっ」

 琉実さんが振り返ったその先には。北原幸一さんが立っていた。迷わず、彼は、琉実さんを抱き寄せる。

「どうして……日本に来るなんて一言も……」

「せっかくなので一緒の便を取っておいた。……琉実。傷つけてすまない……これからは一緒にいよう」

「はい。ずっとずっと……」

 抱擁し、互いの想いを確かめ合うふたり。幸一さんは、わたしたちに目を向けると琉実さんを開放し、

「ふたりに嫌な思いをさせてしまったね。申し訳ない」と頭を下げた。……きっと、謝罪をするためもあってわざわざ日本に来てくれたのだろう。時差ボケも大変だろうに。

「いいんだ。兄貴。幸せになれよ。……義姉さんを泣かせるな」

 きっと蓮二は意識的に義姉さん呼ばわりしている。まっすぐな、蓮二の発言を受け止めた幸一さんはやわらかく微笑み、

「ありがとう。……幸せになるよ」

 * * *

「……行っちゃったね」

「ああ」

「……寂しい?」

「ほんのちょっぴりな。けど、おれには望海がいる」
< 216 / 225 >

この作品をシェア

pagetop