おれが、おまえを、可愛くしてやる。

◇#31. 夢じゃない

「おかえりなさい望海」

「あなた、ただいま。……なんか美味しそうな匂いがするね」

「ふふふ」と微笑む蓮二。手にミトンをはめていることからすると、……「鍋?」

「鍋は鍋でもなに鍋でしょう?」

「うぅーん」とわたしはコートを脱ぎながら、「こないだのカレー鍋も美味しかったよね。……塩ちゃんこ?」

「不正解。なのでお風呂までお運びします」

 とわたしを姫抱きにして洗面所へと運ぶの危険。……心臓に悪いなぁ蓮二って。一緒に生活してても王子様みたいなんだもの。立ち振る舞いが。ビジュアルが。

 そして貴公子は、「お風呂沸かしてあるからゆっくり入っておいで」と消えていく。……ああ。

 本当、素敵なひとを恋人に出来たなぁ。しみじみ。――あれから一年が過ぎて、季節は十二月。もうすぐまたあのイベントがやってくる。ハロウィンが終わると一気にそのモードになるんだよね。街中が。

 ぱぱっと風呂を済ませてドライヤーで髪を乾かしていると、蓮二がやってきた。「おれがするよ」

「……蓮二だって疲れてるのに。いいんですか」
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